2012/05/01

オリッサへ行ってきました③


【オリッサ州の州都 ブバネシュワール】
ここは買い物天国!サンバルプールよりもとにかく品揃えがすごい。
どこのお店も置いているものが全然違うので、毎日いろんなお店に顔を出しては悩み、気温40度の町を歩きまわります。

ブバネシュワールは州都だけあってとても整備された都会。
インドの四大古典舞踊の一つ、オリッシーダンスを習いにくるインド人、外国人も多い。
私がドゥルパド修行の傍ら歌の伴奏をさせていただいている村上幸子さんや仲香織さんも、この町で修行を積んでらっしゃいます。

右:仲香織さん 左:村上幸子さん
でも実は行動範囲が布の買い付けに限られるので、いまだに町の全体のことはよく知りません。ほんとはもっとお寺にお参りに行ったり、買い物の範囲を広げたい。次回はシーズンに行って、ダンサーのお友達に案内してもらわないと!

でたらめなブバネマップ

今回もいっぱい仕入れました。柄は25種類くらい。中には日本人の好みではないな…というものも多々あるので、選ぶのがとにかく大変。

オリッサには少数民族が多数あって、それぞれに織りや染色の技術が残っているのだそう。
下の写真はKodpadというところのサリー。えんじ色の糸は草木染で、糸はすべて手つむぎ。厚みがあって洗うとどんどん柔らかくなる。ここで買うとかなり高価なものですが、現地では女性はちゃんとこのサリーを着ているのだとか。ショールを買おうと思ったけど、もっと気に入ったものが見つかってしまったので今回はお預け。



インドはシルクも有名です。
中でもビハール州で多く生産されているタッサーは、オリッサでも高級かつ需要が高い。絹は手つむぎ手織りのKhadiです。


※タッサー:インドの他のエリ・マルベリ・キモガを加えた四種の野蚕のうちでは一番大きい種類。7割くらいは国内で使われ、あとの3割はアメリカやドイツに輸出してるらしい。

Hari Lalさんに紹介していただいて、今回は町の中にあるウィーヴァーズ・サービス・センターというオリッサ中の織りの研究が行われている施設にも行ってみました。
緑いっぱいの施設の中で、いかにして伝統を維持していくのか、まだまだ未知のエリアが多い民族の研究などが進んでいるそう。たくさん布を見せてもらいました。





下の写真は今回仕入れた物の一部。かわいすぎて手放したくないけど、日本の絣好きな皆様の手元にお届けできたらうれしいな。
少しずつ少しずつ、絣が日本に戻ってきますように…。




オリッサへ行ってきました②

【サンバルプール】
オリッサの中では内陸部に位置するサンバルプール。メインと言える道路は一本しかなのでお店で溢れているけれど、人はいつも素朴で恥ずかしがり屋。外国人にはまだ一人も会ったことがありません。その為感じる視線は強烈ですが、珍しいだけ。笑顔はみんな素敵です。
写真をたくさん載せてみます。

ここでは必ずある市場に行きます。ここに来れば何でもそろうって地元の人が教えてくれました。


60年ほどの歴史のある市場で、中で働いている女性はおばあちゃんたちばかり。昔は今以上に当たり前に着用されてたんだろうなとわかるほど、ほとんどの女性がサンバルプリーサリーを着ています。着すぎてボロボロになっているけど、また味があって素敵。コットンだから夏はとても涼しく、着れば着るほど柔らかくなってふわふわする。

魚屋のお母さん、日本でもよく見るデザイン
市場なのでなんでも買えます。
野菜も神様グッズも魚屋さんも。海が近いのでオリッサの人はよく魚を食べる。


ただぼーっと笑ってるだけんのおばちゃんもたくさんいます。下のサリー、色のコントラストもインドっぽくてかわいい。


お花屋さんのお母さん。ブラウスもサリーもサンバルプリー。眼差しが素敵。


このお父さんはシャツに仕立ててる。


水瓶屋さん この中に水を入れておくと水がひんやりしてくる。これからの時期はどの家庭でも必須です。


最後は市場の近くのドゥルガージーのお寺。めちゃくちゃかっこいい。いつも人で溢れてる。



オリッサへ行ってきました①


オリッサへ行ってきました①

布の買い付けと織りの村を訪ねるため、東インドオリッサ州へ行ってきました。
4月も後半を迎えたオリッサの暑さ… 海からの湿気と高温で町は完全にヒートアップ。
体力的には厳しい旅でしたが、素晴らしい織りの数々に出会い大満足でヴァラナシに戻ってきました。

【織りの村 Jhiliminda】
ヴァラナシから、サンバルプールエクスプレスに乗って20時間。サンバルプリー織りの名前の由来になっているサンバルプールという小さな町があります。現在この町ではほとんど布は織られておらず、ここから約100㎞圏内にたくさんの織りの村があり、シャツやクルタを作る為のマテリアルを作る村、サリーを作る村、ショールを作る村、ベッドカバーを作る村… などなどが点在していて、家庭によってもさまざま。
でこぼこ道をひたすら進む
去年から、オリッサの織り(デザイン)で伝統工芸の賞を取られたHari Lal Meher氏に会うため、Jhilimindaというサンバルプールから約70㎞離れた小さな村を訪れています。
村の方々の優しさに触れつつ、案内をしてもらいながら村を散策。

小さな村ですが、織りのおかげで村は十分に潤っているように見え、清潔そうな制服を着た子供たちとたくさんすれ違います。
かなり気温(最高は50度を超えることもある)があがるオリッサ、村の家はだいたい土壁になっていて、中は小さな扇風機を回すだけでひんやり涼しい。土の床を掘ったところへ機織り機を置いて、直接床に座って織るのが普通。

土壁のおうち

この子は10歳くらいから家族に教えてもらいながら遊び感覚で織りを覚えていったとか。織っているのはハンカチ。クッションカバーになったりもします。こうして子供の頃から織り始めるので、20歳にもなれば十分プロと言えそうです。


村の女性はみんなサンバルプリーのサリーを着ている。日常に溶け込んだ伝統。


それぞれの町で、染色から織りまですべて手作業で行われます。緻密な計算の上で織られる絣。その美しさには見とれてばかりです。
下の写真は染めの工程の見本。これで染めていく順番がよくわかります。
①花びらの淵が染まらないように糸で縛る。
②黄色に染める。
③花びらを黄色で残しておく為に、花びらを糸で縛る。
④全体を赤に染めて糸をほどくと淵は白く残る。
※淵の色は、縦の糸が何色になるかで変わってくる。


この方がHari Lalさん。このサリーはKhadi(手つむぎの糸で織られた布)で、染色は草木染。一つは受賞の際にデリーに収め、一つは手元に置いてらっしゃいます。
手つむぎ手織りのため、質感が本当に優しい。ずっと触れていたいような温かみがあります。


このデザインは織りの工程を描いたもので、非常に細かくかなり技術が高いものだとか。素朴な人間の、何気ない日常。生活の中に当たり前にある彼らの織りの生活が描かれています。

最後には美味しいおうちタリーを頂いて帰路につきました…。